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LAFORET
PRIVATE PARTY

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PRIVATE PARTY

June 2026
LAFORET JOURNAL by AWA ITO
VOL.3



顧客様をご招待する3時間限定のLAFORET PRIVATE PARTYに
注目の文筆家・伊藤亜和が訪店。
書き下ろしのエッセイと共にご紹介します。
パーティーは嫌いじゃない。普段はひとりで過ごすことが多いから勘違いされやすいが、人混みも賑やかな場所も、どちらかといえば好きである。なかなか前に進まないタクシーでようやく乗り付けると、ラフォーレの前は黒ずくめの人々でごった返していた。
今日はLAFORET PRIVATE PARTYの日。日頃からラフォーレを利用している顧客に向けて定期開催される、招待制のプライベートパーティだ。縁あってお邪魔させていただくことになり、この日のために選んだとっておきの黒い衣装でやってきた私は、開場を待つラフォーレ愛好家たちが放つ想像以上の熱気と、昨日までほとんど夏のような陽気だったとは思えない猛烈な寒さに慄いた。上着を持ってこなかった後悔を噛み締める間もなく、大きなスピーカーから響く重低音と、全身に黒を纏ったゴシックロリータたちの、幾重にも重なった生地の中に呑み込まれる。玄人たちは皆、少しの隙もないコーディネートだ。私は、実はたいしてセンスがないことが彼らにバレやしないかと、少し背を小さく丸めながらラフォーレのエントランスに一足先に侵入する。
まだ静かな1階を通って階段を下がると、踊り場にANNA SUIのスタッフさんたちが特設ブースを作ってスタンバイしていた。早速シアーブラックのリップをタッチアップしてもらう。夜の星空を溶かし込んだような黒は、家からつけてきたレッドブラウンのリップと綺麗に混ざり合い、深く熟したリンゴのような色になった。
「ANNA SUIのリップは、薔薇の香りがするんですよ」
そう言いながらスタッフさんが、唇の輪郭をなぞって丁寧にリップを塗ってくれた。唇の隙間から優雅な薔薇の香りが入ってきて、私は思わず塗ったばかりのリップを舐め尽くしてしまいそうになった。
タッチアップを終えてエレベーターに乗り込むと、開場した入り口から外のゲストたちが押し寄せるように入ってきて、エレベーターもあっという間に満員になった。母親と一緒にやってきたらしい10歳くらいの女の子が、自分が黒の服を着ていないことをしきりに気にしている声が聞こえる。そばにいた母親が女の子に優しく「黒じゃない人もいるし、可愛いから気にしなくていいのよ」と声をかけていた。私もエレベーターの隅で「そうだよ。可愛いから大丈夫よ」という代わりに、母親の言葉に合わせて何度も深く頷いた。
来場者が体験できる、ANNA SUIのタッチアップサービス。
館内各所や各店舗に用意している、来場者向けのフリーサービス。
ドレスコードの〈BLACK〉にちなんだ華やかなデコレーションも。
あっという間に賑やかになった場内には、本当にいろいろな人たちがいた。老若男女、思い思いに自分の好きな装いをしていて、地球から見れば本当に小さなこの空間には、この世界のすべての人が集まっているように見える。この場にいる誰もが、人とは違う自分を思うままに誇っている。もし世界の隅々までがこんな空間であったなら、人が傷つけあうことなどないかもしれないと思えるほどに、お互いに主張しあうと同時に、認め合っているように感じた。
それぞれのコーディネートを興味深く眺めながら最上階の6階のラウンジへと向かう。夏のナイトプールをイメージした空間にはDJによる幻想的な音楽が鳴り響いていた。天井から降りてくる銀のテープが、まるで深海のクラゲのように美しく漂っている。
奥にあるVIPラウンジで、この日限定のスターバックスのメニューをいただく。コーヒーはあまり得意ではないとは言い出せないまま差し出されたラムレーズンソース入りのオリジナルドリンクは、ほろ苦い大人の甘さで、気がつけばすぐに飲み干してしまっていた。久しぶりのカフェイン摂取で視界がぼんやりと輝きを増していく。どんどん盛り上がっていくDJに合わせて、近くのギャル二人組が楽しそうに飛び跳ねて踊り出した。周りの目など少しも気にせず、彼女たちは時間を全力で使い果たすように楽しんでいた。誰かに見られているとロクに自撮りもできない私には、彼女たちのようにはしゃぐことはできない。しかしそれでも、誰かがこうして何かを楽しんでいる様子を見るのは、それだけで幸せな気持ちになる。そのうちその二人のそばにギャルの格好をした小さな女の子が寄ってきて、3人で一緒にぴょんぴょんと踊り始めた。最初の二人組は女の子が控えめに踊る姿を見守りながら「上手だね!楽しいね!」と言いながら笑い合っていた。
ラウンジから出て、階段を降りながら、途中で配られていたアイスクリームを頬張り、最後に外に止まっていたワゴンでシナモン味の一口チュロスをいただいた。冷たい風に巻き込まれて、ジャケットの肩についているフリルが何度も顔を覆ってしまう。おしゃれな服は大抵扱いが難しい。それでも、精一杯おめかしをして外へ出るのは、代え難く楽しいものである。熱々のチュロスを、紙袋の中で念入りにシャカシャカと振る。満遍なく甘い砂糖がつくように、人生の束の間にある一瞬の甘さを、少しも取り残さずに味わいたい。小さなチュロスはかじると軽やかな音がして、シナモンの香ばしさと砂糖の甘さが口いっぱいに踊った。シナモンと薔薇の香り。みんな違ってみんな美しい、夜の後ろめたい祝祭の味。
やっぱり、パーティーは嫌いじゃない。
VIP特典のひとつ、スターバックスのカスタマイズコーヒー。
フリーサービスとして提供されるロッテ アイスクリーム「アジアに恋して」や各種ドリンクに加え、当日館内で税込20,000円以上お買い物をするともらえるVIP CARDの特典も充実。
【VIP SERVICE|STREET CHURROS HARAJUKUのチュリン】

「チュロスって、どんなときに食べたらいいか、いまいちピンときていなかった。パーティーの熱気から一歩出て、風に吹かれながら温かいチュロスをかじってみる。シナモンと砂糖の愉快な舌触りに『まさに今!』と嬉しくなる」
6Fにある一夜限りの特別なラウンジ。
ナイトプールを連想させる幻想的な空間で、初夏のPARTYタイムが開催された。
LAFORET PRIVATE PARTY
LAFORET PRIVATE PARTY
毎年6月と12月の第1金曜日に開催され、今回で37回目を迎えた「LAFORET PRIVATE PARTY」。当日は通常営業をクローズし、特別な顧客様だけをエスコートする、3時間限定の完全招待制イベントです。各ショップでは新作コレクションのお披露目や受注会、特別なご優待が実施されるほか、毎回異なるテーマやドレスコードに合わせたファッショナブルな館内装飾・演出が空間を彩ります。贅沢なフリードリンク&フード、特別なVIPサービスとともに、ラフォーレ原宿が贈る最高の非日常を五感で堪能できる特別な一夜です。
LAFORET PRIVATE PARTY
PROFILE

伊藤亜和
1996年横浜市生まれ。文筆家。note掲載のエッセイ『パパと私』がSNSで話題となり注目を集める。著書に『変な奴やめたい。』(ポプラ社)など。ラジオやテレビ出演など幅広く活動。第19回(池田晶子記念)わたくし、つまりNobody賞受賞。初の絵本『モプーはヘンダ』(KADOKAWA、絵:出口かずみ)が2026年5月27日刊行。
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